大牟田市動物園からのメッセージ
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大牟田市動物園は、2021年10月 1日に80周年を迎えました。それを記念して、製作されたドキュメンタリー映画が「動物福祉の明日なら」です。製作にあたり、295名の方によるクラウドファンディングへのご支援に加え、多くの方々にお力添えを賜りました。改めまして衷心よりお礼を申し上げます。
この映画は、80周年の「今」を記録し、この取り組みを未来に繋げ、進化し続けるとともに、動物福祉について多くの人に知ってもらいたいという考えから、製作をすることになりました。はじめは、クラウドファンディングが成功するのかどうかが気がかりで、準備段階から眠れぬ夜をいくつも過ごしました。真夜中に何度も目覚めては、暗闇を見つめ続けました。
そんな不安を覆すかのように、一週間もかからずに目標金額を上回るという結果を得ることができました。80年の長きに渡り、当園が愛されてきたことを改めて感じました。また、当園を大切に思ってくださっている方がこんなにもいらっしゃることに、言葉にできないくらい感謝を致しました。
映画の撮影が始まってからは、一体どんなものになるのか、全く想像がつきませんでした。40分という時間は、当園での取り組み等を考えると、非常に短い時間のように思えます。1年間のできごとや、職員の想いを40分に収めるだなんて、そんなこと本当に可能なのだろうか。早く映画を見てみたいというわくわくする気持ちと同じくらい、そんなことを思っていました。映画の撮影についてお客様から尋ねられることもありましたが、「映画の撮影は順調です。どのような映画になるのかは、分かりませんねえ。」と答えていました。
映画に出演した動物園関係者による試写会を園内でした日のことは、忘れられません。そこには、生き生きとした動物や同僚たちが映っていました。寿命を全うした動物たちの生前の元気な姿を見て、涙がこぼれそうにもなりました。自己満足や内輪受けになってはいけないと思い、感情移入をせずに冷静な判断を心がけながら視聴していたのですが、クラウドファンディングをした時に考えていた「80周年の「今」を記録し、この取り組みを未来に繋げ、進化し続けるとともに、動物福祉について多くの人に知ってもらいたい」、それを体現するものが目の前にありました。
当園は「動物福祉を伝える動物園」というコンセプトの下、動物たちの生活の質の向上のため、日々さまざまな取り組みを実施しています。そして、その内容をできる限り発信しています。
動物福祉については、私たちの国ではまだまだ認識が浅く、また内容が誤解を受けやすいことから、誤った認識がされていたりすることもあります。動物福祉に対する考え方はさまざまであり、その定義も複数存在します。私たちの動物園では、動物福祉の向上のための取り組みを実施するだけではなく、それを伝えるということを重視しています。
「動物福祉の明日なら」では、実際に動物福祉向上への取り組みや、それを伝える動物園職員の姿を通して、動物福祉の今、そして動物福祉とはどういうものなのかについて、具体的に示すことができたと考えております。そして、この映画を多くの方にご覧頂くことで、動物福祉の社会的認知の向上に繋げ、ご覧になられた方が、動物との接し方や動物の幸せについてお考えになられることで、動物が幸せにくらせる社会により近づくことができるのではと思います。
この映画や小川 光一監督の本を通じて、みなさまに少しでも当園のコンセプトやそれに基づく取り組みについて、ご理解を賜りましたら幸いに存じます。最後までお読みくださいまして、ありがとうございました。
企画代表 冨澤 奏子